アメリカのFP事情

米国におけるFPの変遷とFPビジネスの現状について

1.FPの変遷

(1)FPの誕生

 1929年10月21日「暗黒の木曜日」を契機として、第一次大戦に伴う好景気で銀行、証券会社、保険会社などが業務を拡張し、その過程で新たに生まれた企業群や富裕層が踊った熱狂的投資ブームが終焉し、株価の大暴落とその後の大恐慌へとつながっていきました。

 このような社会的経済危機の時代に、個人のなか で総合的な生活設計と資産運用のニーズが高まり、これを保険会社の外交員が「プランナー」として、ライフプランニングや運用のアドバイスをしながら保険商品を販売する形態が生まれました。

 これがFPの始まりといわれています。

(2)FPの確立と発展

 米国の60年代は「黄金の60年代」といわれる高度経済成長の時代で、保険や投資信託を販売する外交員の中ではFPを名乗る者も増えてきていました。

 しかしその中には販売側の都合のみで商品を押し付けたり、無責任に資産運用を請け負ったりする者も現れ、FPの概念や手法の体系化が求められてきました。

 こうしたなか、1969年に13人のファイナンシャル・プランナーが、ファイナンシャル・プランニングを如何に健全に展開していくかをテーマにシカゴで会合を持ったのが始まりで、70年代に入ってFPの協会、教育機関、資格認定機関の設立など制度が整えられていきました。

 そして70年代、80年代は、「個人金融資産の増大」「金融自由化の進展」「高齢化社会への移行」という社会的背景のもと、節税と効率的な運用に対するニーズが高まり、それにつれてFP業界も発展しました。

(3)FPの転換期

 80年代後半から米国経済は大きく変調をきたし、「財テク」や節税に偏ったアドバイスの破綻が目立ち始め、1987年10月19日の「ブラックマンデー」以降、FPの淘汰が本格化しその数も半減しました。

 その後FPの原点回帰の動きが現れ、ライフプランニングをベースにしたリタイアメントプランなど、FPの手法の見直しがおこなわれ、業界としても継続教育や倫理規定の遵守などの取り組みも強化されました。

 また、80年代にはプルデンシャル、メリルリンチ、チェースマンハッタン銀行など大手の保険会社、証券会社、金融機関でFPがさかんに導入され、包括的な相談サービスとブランド力で顧客を引きつけるようになりました。

 従来、FPの中心顧客層は年収10万ドル以上でしたが、401kの普及やインターネットの活用で一般中間層にも広がってきています。

2.「FP業界」の現状

(1)独立系FPと企業系FP

 米国には職業としてFP業務をおこなっている人が30~40万人いると言われています。
 日本もFP資格(日本FP協会またはきんざい認定)を持っている人は25万人程度いるのですが、職業としてFP業務をおこなっている人はまだまだ少ないのが現状です。

 もう一点日本と大きな違いが、30~40万人のうち7割程度が独立系FPと呼ばれる、特定の金融機関等に所属しない人たちであるということです。

 これは、日本の場合、金融関係各社が自前の支店で自社社員による販売をおこなうというのが一般的であるのに対して、米国においては、国土が広大であるなどの理由により、昔からブローカーと呼ばれる複数社の商品を取扱う金融商品の販売代理店が数多く存在していたことがあげられます。

 日本では生・損保の代理店が一番近い存在といえるでしょうが、現在ではこのブローカーたちの多くがFPを名乗っているというのが、独立系FPが多い理由です。

 しかし最近の傾向としては、日本とは逆に企業系のFPが増加しつつあるようです。この背景としては、

  1. 米国の場合、企業系FPといっても、そのほとんどが転勤のない歩合制セールスであり、「顧客から報酬をもらっている」という意識を持ちやすいこと
  2. 金融関係各社の取扱商品が多様化する中で、企業系FPでも充分な品揃えができるようになってきたこと
  3. ミドル層、アッパーミドル層顧客向けのビジネスでは企業のブランド力を活用するほうが顧客を獲得しやすいこと

 などがあげられます。

 米国においては独立系FPと企業系FPの違いが次第になくなりつつあるようです。

【FPの今後の方向性】

 現在7割以上を占めるポートフォリオ・マネジメントの比率を下げ、包括的ファイナンシャル・プランニングの比率を上げる

→FPは顧客がインターネットで得ることのできない付加価値の高い情報・サービスを提供できる専門家としての存在とならなくては生き残ることができない

【独立系FPの収入】

 独立系FPの主な収入は、フィー(相談料)とコミッション(商品販売手数料)です。
 コミッション・オンリーのFPが日本の生・損保代理店に近いわけですが、最近は減少傾向にあります。

 一方、フィー・オンリーのFPの大半は投資顧問業の登録をおこない、富裕層向けに資産運用中心のアドバイスをおこなっているグループで、近年増加傾向にあります。

 一番多数を占めるのが、フィーとコミッションの両方を収入源とするグループで、メイン顧客層はミドル層、アッパーミドル層になります。
 フィーとコミッションの比率は3対7といったところで、保険商品や投資信託など証券商品の販売手数料が最大の収入源です。

 ただし、個別にこのグループに属するFPに聞いてみると、たとえ少額であってもフィー収入があるということは、独立系FPにとってきわめて重要だと口をそろえます。
 これは、フィー収入を得られることこそが、その顧客にそのFPが信頼されている証しだと考えられているからです。

 アセットマネジメント・フィーと証券商品の販売手数料を合わせると全体の6割強となっており、資産運用関係のビジネスが中心となっている様子がわかります。

 80年代は保険コミッションが収入の6割程度を占めていたそうで、FPのビジネスモデルが90年代に入って大きく変化したわけです。
 最近では運用アドバイスができないと、独立系FPとしてのビジネスモデルは作りにくい状況だそうです。

 昨今、好景気と株式の長期上昇相場が続いていた米国も変調をきたしています。
 こうしたなかで再度FPの真価が問われていることでしょう。

 わが国のFPも誕生と発展の経過は、金融資産の増大や金融自由化など米国と同様の社会的背景を有していますが、本格的なビジネスとしては緒についたばかりといえるでしょう。

 米国の変遷を参考に、顧客とともに発展する方向で今後展開していかなければと思われます。

2006年03月19日

カテゴリー:活動実績とFP情報


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